My Sacrifice / 映画「レスラー」

猫パンチでお馴染み(?)、ミッキー・ロークが、かつてスーパースターだったレスラーを演じる、という映画。

以前はWWEが大好きだった私としては、どうしても見逃せない気分になった。ヨメはまったく興味がないようなので、有休消化期間を活用してひとりで見てきた。

以下ネタバレありにつき注意。

あらすじ

かつてスーパースターだったレスラー「ランディ」が、トレーラーハウスに住みスーパーでバイトをしながら、50代になってもよれよれとプロレスをしている。ある日ステロイドの副作用で心臓発作を起こし、医者から引退勧告を受ける。

プロレスを失ったランディ。娘との絆を取り戻そうとするが失敗し、好きになった女性ともうまく関係を築けず、スーパーでの仕事も受け入れることができずに飛び出してしまう。

往年のライバルとブッキングされた「20年ぶりの再戦」のリングに上がった彼は、必殺技「ラム・ジャム」を繰り出すためにトップロープに上るのだった…。

感想

いろんな方面から、心を打たれる映画だった。あ、打たれるは「打撃を受ける」という意味ね。

ステロイドの副作用で心臓発作、という設定がシャレになってないぐらい、しっかりと「レスラーの肉体」になったミッキー・ローク。ジジイっぷりと筋肉のつき方は、ハルク・ホーガンを思い出さずにいられない。

そしてカラダを維持するために薬漬けになってる様子は、エディ・ゲレロとかクリス・ベノワとか、亡くなったWWEのスーパースターを思い出す。

ハードコアマッチ(テーブルとか画鋲とか有刺鉄線とかを使う試合)はミック・フォーリーを髣髴とさせる。そのほかの試合相手として出演していたのも本物のレスラーたちで、かなりちゃんと「プロレスの試合」をしていた。

だから、プロレスの痛さ、怖さ、そして面白さがこんなにもしっかりと表現できたんだろう。

「ランディ」というキャラクターにも打撃を受けた。そろそろ40代もそう遠くない私としては、「男が老いる」ということについて考えなくちゃいけない。もちろん受け入れる準備はまるでできていないのだが。

職業を続けるためのスキルが失われる。レスラーとプログラマを同列で考えるのはあまりにも乱暴だが、自分がこの先どうなるものか、と考えずにはいられなかった。…職場と職場の谷間期間だったから、余計そう思うのかもしれないが。

使われている音楽も切ない。80年代のメタルが中心で、メインテーマはQuiet Riot “Bang Your Head”。Cinderella、Firehouse、Ratt、Slaughter、Accept、Scorpions…とかかりまくり、最後の試合のテーマはGuns ‘n’ Roses “Sweeet Child O’Mine”。

惚れたおねえちゃん(子持ちのポールダンサー)とパブでビールを飲みながら「90’s Suck!」と盛り上がる。曰く、「Nirvanaが出てきて物事がややこしくなった」。

というわけで、「WWEが好きだった」ぐらいの軽い気持ちで見に出かけたら、すっかりいろんなことを考えさせられてしまった。

そろそろ上映が終わりかけているので、興味のある方はお早めに。見て損のない、いい作品である。

リンク

●映画「レスラー」オフィシャルサイト

http://www.wrestler.jp/

●レスラー @ 映画生活

http://www.eigaseikatu.com/title/25498/

●YouTube – Creed – My Sacrifice

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